淺海先生は、学生時代にご家族の法律トラブルを経験したことをきっかけに、弁護士の道へ。
子どもの頃から異なる価値観や文化に触れる体験を積み重ね、弁護士になった今では、依頼者の考え方や性格の違いをどんと受け止める懐の深さを持っている。
優しく包み込むような笑顔と丁寧な言葉遣いに、相手を思いやる優しい気持ちが見える。そんな淺海先生に弁護士としてのやりがいや趣味についてお話を伺った。
弁護士法人 サンク総合法律事務所 淺海 菜保子先生
中央大学法学部卒業、北海道大学法科大学院修了。2011年8月に弁護士登録(第64期)、樋口総合法律事務所(現 弁護士法人サンク総合法律事務所)入所。主な取扱分野は、一般民事全般、債務整理・破産手続き・再生、交通事故、家事事件(離婚問題、遺言・相続問題)、労働事件、刑事事件など。趣味・特技は旅行、読書、美術鑑賞、食べ歩き。
家族と経験したトラブルがきっかけでこの道へ
——弁護士をめざしたきっかけを教えてください。
学生時代に、母がある法律問題に直面しました。一緒に無料の弁護士相談に行ったところ、出てきたのはぶっきらぼうな感じの年配の男性弁護士でした。
今思うと、内容自体は簡単な法律相談だったんですが、いただいたアドバイスがとてもわかりにくくて。こうしたらこうなるということはあれこれ教えてもらったものの、実際に今、なにをすればいいのかがまったくわからない。
「この先どうしたらいいのか」が全然見えず、混乱と不安、疲労で途方に暮れました。「相談しなければよかったな」と自分を責めたり、母にとっても私にとってもつらい経験でしたね。
——そこで、弁護士になりたいと思われたわけですね。
そうですね。実は、高校時代までは理系で、小さい頃は獣医さんに淡い憧れを抱いていたんです。でもこの出来事があってから、弁護士をめざしたいと思うようになりました。
何か大きなことをしたいと思ったわけではなくて、「身近な人が不安になったときに、自分に相談してもらえるような仕事に就きたい」と思ったんです。
——今、弁護士になってみていかがですか?
良い仕事を選んだなと思います。最後にご依頼者様から「ありがとうございました」と言っていただけたときは、「ああ、よかった」と心から思いますね。
一人ひとりの価値観に沿う解決策を見つけてあげたい
——どういった相談を受けることが多いでしょうか?
離婚や相続など、家事事件の相談が多いです。特に、女性からの相談を多く受けています。
皆さんに共通しているのは、非常に真面目で責任感が強いこと。夫に落ち度がある不貞行為でも「私がもっとちゃんと話を聞いてあげていれば、こんなことにならなかった」と自分を責めてしまうかたが多いんですね。
お気持ちはよくわかりますが、あまりご自分を責めすぎないでほしいなと思います。
——お話を伺うときはどんなことを大切にしていますか?
そのかたの価値観をしっかり理解するようにしています。弁護士から見て最善の策でも、そのかたにとって最も良い策とはかぎりませんし、同じようなケースを経験しても人によって考え方は千差万別です。
特に女性は、金銭ですべてを解決しようとするのではなく、今後のつきあいも考えて良好な関係を壊さないようにしたい、というかたが少なくありません。なので、そのかたの性格や価値観を時間をかけて理解するようにしています。何回かお話して、初めて本音が見えてくることもありますし。
——例えばどんなケースがありましたか?
夫からDVを受けていたかたの離婚の相談で、当初はとにかく離婚をしたい、離婚できるならその他の条件はどうでもいい、という話でした。
ただ何度か相談を重ねていくうちに、実はお子さんのことを一番心配していることがわかったんです。そこで、結論を急がずにまずは別居してみましょうと提案しました。
そうしたら、別居することで気持ちが落ち着かれたのか、もっと前向きに離婚を考えられるようになったんです。子どもと父親の面会も最初は絶対に認めないとおっしゃっていたのに、認めてもいいというふうに柔軟性が出てきました。
離婚という最終的な結論は同じでも、そこに至る道は一つではないので、依頼者の価値観や考えにあった方法を提案するように心掛けています。
——弁護士をしていてやりがいを感じる瞬間を教えてください。
ご依頼者様が明るく美しくなっていくことが見られることですね。初めて相談に来るかたは皆さん、水があふれる直前のコップ状態。ひとりでじっと思い悩み、思い詰めた表情になっています。
でも、だんだん解決の見通しが立ってくると、お顔が見違えるほど晴れやかになって、どんどん魅力的になっていくんです。女性だけでなく、男性もです!見違えるように変わっていく様子を目の当たりにできるのは、とてもうれしいですね。
海外旅行とスイーツの食べ歩きでリフレッシュ
——食べ歩きがお好きなんですね。
そうなんです!特に甘いものには目がありません。旅先では、気がつくと三食ぜんぶスイーツということも。北大時代は、ジンパ(ジンギスカン・パーティ)の後でもスイーツは欠かせませんでした。
——旅行もご趣味だとか。
はい。年に一度の長期休暇には海外旅行に出かけます。最近では、バルト三国、ロシア、ポーランド、中欧などに行きました。
これまで触れたことがない価値観や伝統に触れるのがとても好きなんです。親が転勤族だったので、子どもの頃は日本各地を転々としていました。その影響もあるのかもしれません。
——特に印象深かった場所はどこですか?
ポーランドのアウシュビッツですね。知識や技術が高度になればなるほど、それに見合った倫理観や周囲への敬意が欠けてしまうと、とても恐ろしい結果につながってしまうんだ、と強い衝撃を受けました。
チェコのプラハも印象に残っています。路地をひとり歩きして、不思議な音楽やロマンティックな街並みを楽しんだり、人形劇を観たり。もちろん、カフェに入ってスイーツも堪能しました。
高校時代は美術部の部長だったので、街全体が美術品のようなヨーロッパは好きです。旅行で良い刺激をたくさん受けて、リフレッシュしてまた仕事に戻るんです。
——これから行ってみたい国はありますか?
スペイン、ポルトガルです。サグラダファミリアができてからのお楽しみにしています。
おばあちゃんになっても謙虚な弁護士であり続けたい
——これからどんな弁護士になりたいですか?
尊敬する恩師が常々言っていた言葉に「実るほど頭を垂れる稲穂かな」というものがあります。自分がどんなに知識や経験を蓄えても、ずっと謙虚であり続けなければならないと。
恩師もこの言葉を地でいくような素晴らしいかたでした。私もおばあちゃんになったときに、恩師のように常に謙虚で、周りのかたを尊敬し、周りのかたからも尊敬されるような弁護士になりたいです。
——弁護士に相談したいけれどちょっとハードルを感じているかたへ、メッセージをお願いします。
今お悩みを抱えているかた、どうかまずは落ちついて、ありのままの気持ちを弁護士に話してみてください。あれこれ考え込むよりも、誰かに話すことで考えや思いが整理されていくものです。
最初のご相談で、私は必ずこうお伝えしています。「これまでたったおひとりでトラブルに立ち向かってこられたことを誇りに思ってください。こうやってご相談にいらしたことで、すでに解決への一歩を踏み出しています。だから一緒に良い解決策を探していきましょう」と。
相談という初めの一歩を踏み出すことは、とても勇気がいることです。その一歩を踏み出せたかたをもっと褒めてあげたいと思います。
弁護士法人 サンク総合法律事務所
弁護士法人サンク総合法律事務所は、「笑顔をつなぐ明日への架け橋」をモットーにしている法律事務所です。アットホームな雰囲気の中、所員一同、明るく爽やかに誠意をもって、さまざまな法律問題の解決に取り組んでいます。
電話相談なども随時受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせ、ご相談ください。
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<取扱業務一覧>
- 一般民事全般
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- 労働事件
取材・文/樫永真紀 撮影/樫永真紀