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2020.03.19
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新たな外交の架け橋に。新外交イニシアティブの猿田弁護士の想い

「一部の意見がアメリカ国民の総意のように報道されている」

ワシントンへ留学中だった猿田佐世さんは、日本のニュースを見てそう感じた。

「私が留学していたのは、『沖縄の米軍基地建設』がニュースで大きく取りあげられていた時期。日本では、アメリカが基地建設をせまる切迫した状態だと報道されていました。

でも、ワシントンにいた私が感じていた空気はまったく別物でした。現地では、沖縄の基地建設に興味をもつ人はごくごくわずかで、無関心な人がほとんどだったんです。それは国民だけでなく国会議員でも同じ。むしろ、沖縄の現状を伝えると『こんなにきれいな海を埋め立てるなんて!』と反対してくれる議員もいました」

ワシントンの現状は、ニュースを見て受ける印象とはまったく違っていた。日本の安全保障政策にとても影響力があり、その中でも一番のタカ派といわれるようなアメリカ人知日派が、「沖縄の反対が強いから基地建設は現在の辺野古以外の場所を検討した方がいい」と話しているのにはあっけにとられたと猿田さんは続ける。

どうしてこの声が日本に届かないのか。

「日本では、政策を決めるのは政治家や官僚で、彼ら以外の声は反映されづらい。それが『外交』になると、さらに少数の、ごく一部の人たちだけで意思決定がなされているのが現状です。こうした状況をなんとかしたい。そんな想いから新外交イニシアティブは誕生しました」

新外交イニシアティブ 猿田佐世先生

新外交イニシアティブ(ND)代表・上級研究員・弁護士(日本・ニューヨーク州)。立教大学講師や沖縄国際大学特別研究員などを務める。大学学部時代からアムネスティ・インターナショナル、ヒューマン・ライツ・ウォッチなどさまざまな国際人権団体で活動。外交や政治問題について米議会等でロビーイングを行う他、日本の国会議員や地方公共団体等の訪米行動を自ら実施。研究課題は日本外交であり、基地や原発、日米安保体制、TPPなど日米間の各外交テーマに加え、日米外交の「システム」や「意思決定過程」に特に焦点を当てて活動している。

——猿田先生が弁護士になったきっかけを教えてください。

もともとは、幼い頃から国連で働きたかったんです。事あるごとに「国連で働きたい」と言い続けていたら、高校生のとき、ある先生に「国連は専門的な知識がないと働けないから、何か専門性の高いものを身に付けなさい。猿田には弁護士が合うんじゃないの」とアドバイスをもらいました。

子どもながらに、弁護士は人の役に立てる職業だというイメージもあり、「じゃあまず弁護士を目指そう」と決めたんです。国連で働きたいと考えていたのも、昔から「困ってる人のために何かしたいな」と思っていたからでした。

その後、実際に国連でインターンをしたり、NGOの活動でタンザニアの難民キャンプへ行ったりして、その経験から、日本人の自分が一番やるべきなのは、日本の外交のカタチを変えていくことなのではないかと思い今に至ります。

——ふだん、どのような仕事をしていますか?  またやりがいを感じる瞬間を教えてください。

議員の方の同行でワシントンに行ったり、海外の米軍基地視察をしたり、日本で研究会を行って政策作りをするなどしています。講演や執筆の機会も多いです。

新外交イニシアティブとは、『国境を越えて声を伝える』をテーマに活動するシンクタンクです。活動内容としては、日米や東アジア各国において情報の収集や発信、各国政府への政策提言のサポート、海外視察のコーディネートなどマルチラテラル外交(重層的な外交)に関するあらゆることを推進しています。「現在の外交に届かない人々の声を、国境を越えて届ける」というのがモットーです。

現在に至るまで、在日米軍基地や、安保法制、貿易(Trans-Pacific Partnership=TPP)はもちろん、原発や自然エネルギー、日中・日韓関係にも取り組んできました。「外交」と聞くと遠いところの話のように思うかも知れません。

しかし、沖縄の基地問題に代表されるように、一部の人たちの手による外交で人々の想いがつぶされ、ときに生活すら破壊されてきました。この想いを世界に伝え、しかも決定権限を持つアメリカ政府や議会に直接訴えるという取り組みをしています。

非常にチャレンジングな,そして、大変やりがいのあるパイオニアとしての活動をやらせていただいていると思っています。

——現在、新外交イニシアティブ(ND)は会員も募集中と伺いました。

そうですね。800人を超える方が会員に登録してくださっています。会員の多くは、今の外交のありかたを見直すべきだと考えていたり、海外の各団体や議員などと連携したい、自ら情報を収集・発信したいといった方々。「 是非NDの活動を支えたい」とおっしゃって会員になってくださっています。本当にありがたいことです。

会員の方には、海外の新聞の日本についての記事を集めたウィークリーニュース(日本語)をお届けしたり、貴重な識者などの講演会を無料でご参加いただけたりします。また、ご希望があれば、一緒にアメリカへ行き、アメリカの議員さんと直接会ってお話しいただくようなことも頻繁にしています。ほかにも、通訳や資料収集など、さまざまな形で会員の方のお手伝いをしています。

ぜひ、現在の外交に問題があるとお考えの方、自ら海外へ発信したいとお考えの方、海外の団体や議員と連携したい方など、その全ての皆様に新外交イニシアティブの会員になっていただければと思います。詳しくは、新外交イニシアティブのホームページをご覧ください。

——ありがとうございます。では最後に今後の展望や目標を教えてください。

新外交イニシアティブ設立から7年が経ちます。この間、日米のオルタナティブなパイプを作り続けてきたという自負があります。一部の人の意見だけでなく、さまざまな人の意見が国境を越えて他国の人々とつながり、それが日本の政治を大きく変えるような仕掛けを引き続き作っていきたいと思います。応援お願い致します。

 

新外交イニシアティブ(ND)

 


公式HPはこちら

新たな外交の架け橋に。新外交イニシアティブの猿田弁護士の想い

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