若者のカルチャーと流行が生まれる街、渋谷に事務所を構える高木啓成先生。先生は弁護士でありながら作曲家という肩書きももつ。
しかも作曲は休日の趣味ではなく、誰もが知っているような国民的アイドルが歌う曲だという。高木先生はなぜ、『弁護士×作曲家』という異色のキャリアを進んでいるのだろうか。
渋谷カケル法律事務所 高木啓成先生
福岡県出身。一橋大学法学部卒業。第二東京弁護士会所属。弁護士をしながら作曲家としても活動する。作曲家としてのメジャーデビューは2018年。HKT48をはじめとする複数のアイドルグループに楽曲提供をしている。メディアや雑誌への取材協力、連載執筆も多数。
——高木先生が弁護士と作曲家、二つのキャリアを歩み始めたきっかけを教えてください。
弁護士になった理由は、就職活動から逃げたかったからなんです。学生の頃は漠然と「自分にはスーツを着て就職活動はできない」と思っていました。だから、就職活動を避けるために司法試験を受けることにしたんです。
作曲家になったのは、もとをたどるとアニメ『けいおん!』を観たから。
もともと音楽が好きで、中学生の頃から自分で作った曲でバンド活動をしていました。でも司法試験の勉強が忙しく、音楽に時間を割けなくなって。弁護士になった後も忙しさは変わらず、音楽からどんどん遠ざかっていったんです。
諦めずに挑戦すれば、かなう夢もある
そんなときにアニメ『けいおん!』と出会いました。女子高生たちがバンドを組んで音楽に打ち込む姿を観て、「やっぱり自分も音楽を続けたい」と忘れかけていた熱い想いが込み上げてきたんです。
それから合間を見つけては少しずつ作曲するようになり、弁護士仲間たちとバンドを組んだこともありました。でもやっぱり忙しくて、メンバーがなかなか集まれずバンドは解散。その後は、自分ひとりでPCさえあればできる作曲活動ばかり続けていました。
——本格的に作曲家をめざすようになったきっかけを教えてください。
クライアントの作曲家マネジメント事務所のかたから「コンペに応募してみたらどうか」と勧められたんです。初めて採用されたのはちょうど70曲目に作った曲でした。初採用までに5年かかりましたね。
採用の電話をもらったときは、まるで子どもが生まれた連絡をもらったような気分で、一日中ソワソワと落ち着きませんでした(笑)。
たくさんの人に自分が作った曲を聴いてもらえるのは、音楽に携わる者にとってこれ以上ない醍醐味。諦めずに音楽を続けてきたかいがありましたね。
弁護士×作曲家「強みを生かして依頼者の力になりたい」
——現在は、どういった依頼や相談が多いですか?
自分が作曲家ということもあり、音楽や映像を取り扱う企業、芸能事務所などから著作権法に関する相談をいただくことが多いですね。
音楽や映像の制作現場に接する機会も多いので、自分は法律だけでなく実務に対しても理解と知見をもっていると思います。これは、渋谷カケル法律事務所の大きな強みにもなっていますね。
——印象に残っている相談や裁判を教えてください。
具体的な内容をお話しできる案件がなくて申し訳ないのですが、著名人の相続問題や印税などにまつわるものですね。
近年はインターネットの普及により、音楽に関するビジネス、視聴方法なども大きく変わりました。今までなかったような相談も増えているので、どれも印象に残っています。
——やりがいを感じる瞬間はありますか?
これまでに存在しなかった新しいサービスや取引の相談を受けたときに、法律的に整理して利用規約や契約書をきれいに作成できた瞬間ですね。
弁護士として少しでも依頼者の役に立てたらやっぱりうれしいし、やりがいを感じます。
——最後に、弁護士に相談することにハードルを感じているかたへメッセージをお願いします。
弁護士に相談といえば、どうしても物々しい印象を受けがちです。
しかし僕の場合、顧問先には携帯電話番号やFacebook Messenger、Chatwork、Slackのアカウントを共有しているので、気軽にいつでも好きな方法で連絡していただけるようにしています。
また、企業の勉強会や異業種交流会に呼んでいただいて講演したり、うちの法律事務所を会場にしてクリエイターやミュージシャン向けのセミナーを開催、法律や契約についてお話ししています。
小さな事務所ですが、クリエイターさんで満席になることもあります。法律になじみのないかたにもわかりやすく楽しいセミナーになるように心掛けています。
渋谷カケル法律事務所は、著作権関連のエンターテイメント法務や、インターネットの法律問題、不動産の法律問題、労働、離婚、相続問題などにも対応しています。
僕自身も作曲家として活動しているので、エンターテイメント業界を盛り上げているかたがたに協力したい気持ちが強くあります。
実際、映像・音楽制作会社や、芸能事務所、ゲーム会社、デザイン事務所などの企業様からも多くご相談をいただいています。一般的には理解しづらい業界習慣や実務的な部分にも、弁護士業務の範囲を超えて対応できるはずです。ぜひ、ご相談ください。
渋谷カケル法律事務所
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取材・文/菊地 誠 撮影/菊地 誠