縁あって2019年に東京での弁護士生活をスタートして半年。田尻先生は「兵庫生まれで兵庫に19年、学生時代からは同志社大学で学び京都に20年いたので、次は東京に21年いたらいいかな」と笑って語る。
町の開業医のように町で人に寄り添う仕事に憧れ、弁護士の道を諦めずにがんばり続けたという田尻先生にお話を伺った。
弁護士法人ユア・エース 田尻 学先生
2003年、同志社大学卒業。2005年、同志社大学大学院修了。2017年に同志社大学法科大学院修了、2019年に第一東京弁護士会所属、弁護士登録。現在は弁護士法人ユア・エース 博多オフィス エリアマネージャー。趣味は飲酒と鉄道に乗ること。
<監修実績>
・誰でも分かる債務整理 Relib
・誰でも分かる交通事故示談 ResQu
※インタビュー時は天音総合法律事務所所属
人を安心させることができる弁護士という仕事に憧れて
――弁護士をめざしたきっかけを教えてください。
なんとなく考え始めたのは中学生くらいのときですね。親がサラリーマンだったので自由業がいいなと。自分の城を持つのはカッコいいなと思っていました。
――弁護士を本気でめざしたきっかけは?
大学で法律相談サークルに参加したことです。学内で定期的にやる法律相談の他に、年に1回、京都以外の関西圏で出張相談会もやっていたんです。
当時は法テラスもまだなくて、一般のかたが気軽に法律相談できる場所が少ない時代。スマホで簡単に情報収集できるわけでもありません。
なので、学生サークルによる法律相談会にもたくさんのかたが来てくれたんです。1日平均30人くらいはいたんじゃないかと思います。
大学2年から4年までと大学院の3年間、計6年参加して、4年生のときは実行委員長もつとめました。
――そのとき、どんな感想を持ちましたか?
「世の中にはいろんな相談があるんだな」というのと「これを一人でやるのは大変そうだな」と。
家を借りている人からの「エアコンを買って取りつけたいけど、引っ越しのときは置いていかなあかんの?」というような日常的なこまごまとした相談もあれば、聞いていて「自分は何の力にもなれない」と感じるような相談もあって、弁護士という仕事は大変だなと思いました。
――それでも弁護士の道を選ばれたわけですね。
そうですね。相談前は不安気な顔だったご依頼者様が、相談後は一転して明るい顔で帰る姿を見ると、「やっぱり弁護士はいいな」と。こんなにも人を安心させることができるんだということを実感しました。
「町にいて、人びとが身近に相談できる相手になりたい」と思っていたので、裁判官や検察官になろうとは思いませんでしたね。
もち前の粘り強さと負けず嫌いで最後までやり抜く
――実際に弁護士になってみていかがですか?
イメージ通りですかね。ただ、正直ここまで忙しいとは思っていませんでした(笑)。思ったよりも違うなと思ったのは、話の聞き方でしょうか。
どこまでが事実なのか、事実だとして相手がたに主張すべきことかどうか、という二点を考えながら話を聞くようになりました。
――弁護士として大切にしていることを教えてください。
ご依頼者様のお話にきちんと耳を傾けること。それから、法律家ですので法律的に間違ったことを言わないよう気をつけています。
法律的にできないことはできない、とはっきりお伝えするようにしていますね。「弁護士にできないとはっきり言ってもらったから、ようやく納得できた」と言うかたもいますから。
――田尻先生は、いったん社会人になってから法科大学院へ入られたんですよね。
はい。塾の先生をやりながら、仕事をしたり勉強をしたりという生活でした。そのうちにロースクール制度が始まったので、再び母校に戻りました。
――ずっと勉強されてきたわけですね。弁護士に求められる資質は何だと思いますか?
粘り強さでしょうか。司法試験を受けるために勉強しなければならないですし、刑事事件でもそうですね。
捕まっている人を外に出してあげるために、抗告や準抗告という不服申立ての手段があるんですが、1回やってダメでも、そこで諦めずにもう1回やってみるということは大事です。
――生まれつき粘り強い性格なんですか?
うーん、どうでしょうね。小学校から高校までずっと野球をやっていて培われた部分もあるかもしれないですが、元来が負けず嫌いなので。
負けたくないから、嫌でも粘り強くなるんです。裁判もやるとなったらとことんやりますね。
――いま現在、どういった相談を受けることが多いでしょうか?
事務所の方針があり、交通事故では被害者側の代理人、債務整理では債務者側の代理人を受任しています。日本橋オフィスでは債務整理、永田町オフィスでは交通事故が多い印象です。
はじめての交通事故で保険会社とのやりとりが心配、仕事で日中対応ができないというかたや、多重債務者のかたの場合は、金融業者との対応などが多いです。
――なかでも印象に残っている相談や裁判を教えてください。
何度かお会いするうちに第一印象がガラッと変わったかたがいました。ギャンブルや買い物などで多額の借金を抱えてしまったので、破産を申し立てたいというかたでした。
最初は借金の理由を聞いて破天荒な人なんだろうなと思ったんですが、何度かお話しするうちに、実はものすごく真面目で几帳面なかただということがわかって。
先入観をもたずに人に接することは大切だなと思いました。そのかたには「ユア・エースで救われました。生まれ変わりました」と言っていただき、とてもうれしかったです。
もう一つは、住宅ローンが返せなくなったかたが無事破産できたときですね。最後にお見送りをしたときの背中からうれしさがあふれていたんです。「ああ、本当に良かった」と感じました。
――やりがいを感じる瞬間はそういうときですか?
そうですね。弁護士としてご依頼者様のためにずっとがんばってきているので、ご依頼者様の様子が変わったり、「ありがとうございました」と言われたり、最後に何か希望が見えるとうれしいですね。
食事と一緒に楽しむお酒と鉄道に乗るのが趣味
――今のご趣味は何ですか?
お酒ですね。食事のときは、必ず何かしらのお酒を楽しみます。多いときは瓶ビール3本くらい。
なかでもウイスキーが好きですね。大学生のときに友達がバーテンダーをしていたんです。それがウイスキーとの最初の出会いでした。
エライジャ・クレイグというバーボンが特にお気に入りですね。翌日に仕事がある日は家呑みが多いです。
――鉄道ファンでもあるとか。
鉄オタというほど詳しいわけではないですよ。鉄道でどこかへ旅行するのが楽しいのではなく、鉄道に乗ることと、路線図を見るのが好きなんです。「この駅で降りたら、この電車に乗り換えてこっちまで行けるんだ」とか。あれこれ想像すると楽しいんですよね。
東京に来てから印象に残っているのは小田急ロマンスカー。とても楽しかったです!窓枠がない連続窓なので、ものすごく眺望がいいんです!流れゆく車窓の風景が実に気持ち良かったですね。
鉄道ファンにとって東京は魅力的だと思いますよ。鉄道網が張り巡らされていますから。移動のときは行きと帰りのルートを絶対に変えます。川崎に行ったときも行きはJRで行ったんですけど、「このまま同じルートで帰るのは面白くないな」と思い、帰りは南武線と東急目黒線を乗り継いで帰ってきました。
仕事で地方へ出張したときは、行った先で駅名標を撮って、満足して帰ってきます(笑)。
――趣味が仕事に生かされているなと思うことはありますか?
特に意識はしてないですけどあるかもしれません。例えばこの駅からこの駅まで行きたいというときに、普通はそんなにいろんなルートを検討しないですよね。でも私は「これでも行けるけど、こんな行き方もあるなあ」と調べるのが好き。
一つの事柄をいろんな角度から見る視点は、仕事にも役立っているかもしれないです。
――時間があればやってみたいことは?
日本一周ですね。本州・四国・九州なら1週間もあればできるんじゃないかと思います。
依頼者に安心を与えられる弁護士をめざして
――これからどんな弁護士になりたいですか?
ご依頼者様に安心を与えることができる弁護士になりたいです。困っているかたに「弁護士に依頼して良かった」と思っていただきたいと考えています。
周りに言えない悩みを抱えていらっしゃるかたに安心して日々を過ごしていただくため、これからも研さんを積んでいきたいです。
また相続や離婚などの家事事件や、学生時代に勉強していた行政事件などにも積極的に携わっていきたいと思っています。
――初回の相談ではどんな話をするのですか?
初回に聞くおもな内容は、交通事故は事故やケガの概要、破産の場合は破産に至るまでの事情などです。債務整理は初回に今後の手続きの流れをひととおりお伝えするようにしています。
――最後に、弁護士に相談することにハードルを感じているかたへメッセージをお願いします。
まずは何でも話してください。誰かに話すだけでも安心できることがありますから、不安をおひとりで抱え込むのではなく、私にすべて吐き出していただければと思います。
持ち前の粘り強さで、じっくりお話をお聞きします。
弁護士法人ユア・エース
「債務整理」「交通事故」をはじめとした、さまざまな法律問題の解決に取り組んでいます。ただ問題を解決するだけでなく、目の前の相談者様の安心感や満足感を一番に考えることをめざし、使命にしています。専門性に特化したスタッフが、チームを組んで問題解決に取り組んでおり、お一人お一人に合わせた迅速な対応が可能です。
公式HPはこちら
<取扱業務一覧>
- 債務整理
- 交通事故
- 消費者トラブル
- 離婚トラブル
- 相続、遺言、後見
- 労働紛争
- 債権回収
- 医療事故
取材・文/樫永真紀 撮影/樫永真紀