TMI総合法律事務所 藤巻 伍先生
2013年3月中央大学法学部法律学科卒業。2016年1月、TMI総合法律事務所へ入所。人事労務、ヘルスケア、スポーツ法務その他一般企業法務をおもに担当している。
——どういった依頼や相談が多いですか?
人事労務、ヘルスケア、スポーツの3つを専門分野としておりますので、これらに関連するご相談を中心にお受けしています。
人事労務分野では、訴訟・労働審判などの紛争系の案件の他、いわゆる予防法務的なご相談をいただいております。
例えば、就業規則をはじめとする人事関連規程の作成・改訂のサポートをさせていただいたり、懲戒処分、解雇、雇い止めなどの紛争化しやすいシチュエーションでのご相談をいただくことが多いです。
最近では、働き方改革関連法の影響で、労働関連法令の順守に対する意識が高い企業が増えており、紛争化する前のご相談が大半を占める印象です。
ヘルスケア分野では、医療・薬事その他のヘルスケア関連分野特有の問題がからむ、新規事業開発サポート、M&A、ベンチャー投資、医事・薬事規制対応、広告審査などをさせていただいています。
中でも新たにヘルスケアビジネスをスタートする企業からのご相談をよくいただいております。
企業側がビジネススキームを組む際に、薬機法、医療法、医師法などのヘルスケアレギュレーションに抵触するリスクをチェックし、これに対する対応策などをアドバイスしています。
最近は、ヘルスケア関連のベンチャー企業に対する投資も増えているため、投資家サイドから、投資先企業の営むヘルスケアビジネスに重要な問題点がないかを調査するご依頼もいただいております。
昨今の新型コロナウイルスの影響で全世界的にヘルスケア分野が注目されていますが、ヘルスケア分野を専門にする弁護士は少ない印象です。
また、ヘルスケア分野の許認可規制の内容が時代の変化にともなって日々発展している他、国際的な案件も増加傾向にあるため、とてもやりがいのある業務分野だと感じています。
スポーツ分野では、選手・マネジメント会社側やクラブ側など、さまざまな立場の方からご相談があります。
選手・マネジメント会社側からのご依頼は、チームとの契約に限らず、スポンサー契約や広告出演契約に関するものも多くいただいています。
また、日本人選手のアンチ・ドーピング案件もいくつか担当させていただきました。
クラブ側からのご相談は、選手や監督、コーチとの契約に関するものがほとんどですが、選手が移籍するタイミングで発生するトラブルに関するご相談もあります。
また弊所は、以前からスポーツ法務に力を入れており、国際的な大会の開催準備・運営に携わったり、スポーツ団体のガバナンスに関するルールづくりに関与したりと、弊所ならではの経験をたくさん積んでおります。
私が専門とする3つの分野は一見関連性がなさそうですが、スポーツ選手・クラブスタッフ向けのハラスメント研修講師を務めたり、スポーツ大会における医療提供体制の法令順守状況を確認したり、病院・薬局その他ヘルスケア関連企業の人事労務のご相談を受けたりと、各分野がクロスオーバーする案件も一定程度あるので、シナジーも感じています。
また、いずれの分野も、今後より一層国際的な案件が増えると思いますので、留学をすることでグローバルな視点を養い、世界に通用する弁護士になることを目指しています。
——今までで印象に残っている案件などがあれば教えてください。またやりがいを感じる瞬間やうれしいと感じるタイミングはありますか。
印象に残っていることはたくさんありますが、一つはアンチ・ドーピングの案件です。
私たちは、選手側の代理人として活動させていただく機会が多く、尿検査で陽性反応が出てしまった選手の代理人として、その選手に対する処分に関して仲裁機構や仲裁裁判所で争います。
中でも強く印象に残っているのは、国際大会で陽性反応が出てしまった選手のケースです。
海外での仲裁手続きでしたので、資料作成や聴聞手続きでのやり取りもすべて英語。
今までにない経験だったため、非常に刺激的でした。
また、事情からすれば選手側に不利な状況ではありましたが、選手を救うために何か方法がないかと徹底的に調査や検討をし尽くしました。
最終的に選手にとって良い結果を獲得できたときは大変うれしかったですし、選手や関係者の皆さまから感謝の言葉をいただくことができ、弁護士としてのやりがいも強く感じられた経験となりました。
弁護士の仕事は、インプットとアウトプットの繰り返し。
インプットが徐々に蓄積されていき、それがうまくアウトプットにつながったときは達成感を感じられます。
私は、学生時代から法律を勉強することがとても好きでした。
世界に通用する弁護士になるためには今も未来も毎日勉強し続ける必要がありますが、継続は力なりの精神で今後も楽しみながら勉強を続けていきたいと思います。
——ありがとうございます。ここからは、先生の趣味や休日の過ごし方を教えてください。
スポーツ観戦と旅行、あとは法改正のキャッチアップや、専門性を深めるための勉強をしています。
新型コロナウイルスの影響もあり、最近は旅行にはほとんど行けていないので、自宅のテレビでスポーツ観戦をするか、勉強をしていることが多いですね。
来年は海外のロースクールに留学したいと考えておりますので、英語の勉強もしています。
スポーツ観戦は、中高生のときにやっていた野球やバレーボール、最近は、陸上(長距離)もよく観ています。
お仕事でサポートさせていただいたことをきっかけに、ラグビーやサッカーを観る機会も増えました。
自分がサポートしているクラブが勝ったり、選手が活躍すると、とてもうれしいですね。
——最後に、弁護士に相談することにハードルの高さを感じている方へメッセージをお願いします。
過去にご相談いただいたものの中には、「もう少し早く相談してくれていたらより良い形で解決できたのに」と思うものも少なくありませんでした。
事態が大きくなってからでは、解決に時間もお金もかかってしまいます。
大切なのは悩んだらすぐに相談すること。
本来、弁護士に相談することにハードルの高さを感じる必要はないと思います。
かかりつけの病院や薬局に相談するような気軽さで、私たち弁護士にもご相談いただけたらうれしいです。
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取材・文/菊地 誠 撮影/菊地 誠