とあるステージでマジック(手品)を披露する男性の姿があった。プロ顔負けの本格的なマジックを披露する彼だが、本業は弁護士だ。
名前は小野智彦先生。大本総合法律事務所に所属する正真正銘の弁護士だ。今回は、弁護士でありながらマジシャンとしてもエンターテイナーの道を歩み続ける小野先生にお話を伺った。
弁護士になったのは苦手科目を勉強したくなかったから
弁護士法人 大本総合法律事務所 小野智彦先生
日本弁護士連合会、東京弁護士会所属。中央大学法学部法律学科卒業。旧司法試験合格。1999年に豊島法律事務所へ入所。その後、2014年に銀座ウィザード法律事務所を開所。2019年から大本総合法律事務所へ入所。「 ビートたけしのテレビタックル」「キスマイマジック」などメディア出演も多数。
——小野先生が弁護士をめざしたきっかけを教えてください。
もとをたどると、苦手な数学で大学を受験したくなかったから。高校生のとき、通信簿には1から10まで並んでいて(笑)。得意な科目は成績が良かったのですが、苦手な科目はとことん悪かったんです。
そこで、自分が得意な科目で受験できる大学を探したところ、中央大学法学部法律学科にたどり着いた。
大学に合格した後は、せっかく大学まで行くのならしっかりと勉強してみようと思って、司法試験を受けることにしたんです。
それまでは、まさか自分が弁護士になるなんて思いもしませんでしたね。弁護士なんて映画やテレビの中だけの存在だと思っていたくらいです(笑)。
弁護士とマジシャンの意外な共通点
——弁護士をしていてやりがいを感じる瞬間を教えてください。
やっぱり事件が解決してご依頼者様が笑顔になった瞬間ですね。抱えていた重荷を下ろすことができたご依頼者様のホッとした表情は、何度見てもうれしいです。
人が前進した瞬間に立ち会えた瞬間もやりがいを感じますね。以前担当した事件では、一家離散状態だったご依頼者様の家族が裁判をきっかけに再結集しました。
裁判はしないに越したことはございませんが、裁判をきっかけに人の人生が好転するのは喜ばしいことです。家族の絆が新しく生まれた瞬間に立ち会えたのは、強く印象に残っていますね。
——依頼者からどういった相談を受けることが多いでしょうか? また印象に残っている相談や裁判を教えてください。
最近は、離婚や相続問題、交通事故、刑事事件といったご相談を多くいただきます。印象に残っているのは、プロのマジシャンからのマジックに関する相談ですね。
少し前に、マジックで使うために500円玉に穴を開けたマジシャンが、「貨幣損傷等取締法違反※の罪で訴えられたので助けてほしい」と相談にいらっしゃったんですよ。その裁判では、プロのマジシャンを呼んで、法廷で穴の空いたコインを使ったマジックを実演していただきました。
※貨幣損傷等取締法とは、貨幣を損傷または鋳潰すことを禁じた日本の法律
実際にマジックを見てもらって、「マジックはこんなにも人を楽しませる素敵なものなんだ。コインに穴を開けても誰にも迷惑をかけていない。マジシャンに対する表現の自由を制限しているのでは?」と裁判官に訴えたんです。
裁判官も傍聴席のかたがたも終始笑顔で、法廷でのマジックショーはみんな満足されていました。結果的には負けてしまったのですが、あそこまで笑顔にあふれた裁判はなかなかありませんね(笑)。
——法廷でマジック。「リーガルハイ」(弁護士を題材にしたTVドラマ)のようですね(笑)。私は以前、小野先生のマジックを拝見したことがあるのですが、どれも本格的なものばかりでした。なぜ弁護士の小野先生がマジックを始めたのでしょうか。
始めたきっかけは、弁護士の仕事が忙しくて家に帰れなかったときに、限られた時間でなんとか息子を楽しませたいという親心からでした。仕事帰りに数千円のマジックキットを買って、夜中にこっそり練習した後に息子に披露したんですよ。そしたら目をキラキラさせながら喜んでくれて。
「こんなに喜んでくれるなら、もっと難しいマジックも披露したい」
そう思ってどんどん突き詰めていくうちに、気がついたらプロのマジシャンに弟子入りしていました。
でも、それほどマジックは素晴らしいものなんですよ。子どもにかぎらず、疲れている人も笑顔にすることができる。
——マジシャンと弁護士は対極の位置にいると感じていたので、小野先生の存在を知ったときは驚きました。
実は弁護士とマジシャンには大きな共通点があるんです。それは、どちらも人を笑顔にすることのできる、素敵な職業だということ。
残念ながら法律の現場では、マジックのように魔法のような技は使えません。私たち弁護士は、今まで培ってきた知識と経験を生かして、つらい想いを抱えて苦しんでいるかたがたを最後には「笑顔」に変えられる可能性をもっています。
依頼者と一緒になって泣いたり笑ったりできるのは弁護士だからこそ
「弁護士というのは、依頼者と一緒になって泣いたり笑ったりできる素晴らしい職業だ」
この言葉は昔、弁護士の大先輩に教えていただいた言葉です。私はこの言葉を胸に、依頼者とともに二人三脚で問題を乗り越えていこうと、弁護を続けてきました。どんな問題も、乗り越えた先には、きっと笑顔がある。今まではそうでしたし、これからもそうだと信じています。
私は弁護士になりもう20年目になりますが、今でも「良い仕事に就けて本当に良かった」と日々感謝しながら仕事をしています。やっぱり天職なんでしょうね。
——最後に、弁護士に相談することにハードルを感じているかたへメッセージをお願いします。
私は、これまでの弁護士生活の中で、離婚や相続といった家事事件、借金問題や消費者被害などの民事事件、少年事件、刑事事件、エンターテインメント法など、さまざまな悩みに応える経験を積んでまいりました。
一人でも多くのかたがたと出会い、少しでも多くの手助けをして、ご依頼者様の心が少しでも軽くなるような、今日ここに来て良かったと思っていただけるようなアドバイスを心掛けてまいります。どんなさ細なことでも、まずは気軽にご相談ください。
弁護士法人大本総合法律事務所
大本総合法律事務所は、常にクライアントニーズを模索し、新しいリーガルサービスを提案していきます。
債権回収、刑事事件、相続、交通事故などの法律相談に詳しい弁護士が個々に対応しています。また、会計事務所を併設している法律事務所として、ワンストップの総合的なアドバイスが可能です。相続トラブルなども、相続税の知識のある専門家を同席してのアドバイスの提供ができますので、円満解決への道に力を尽くせます。気軽にご相談ください。
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取材・文/菊地 誠 撮影/菊地 誠